新しい学校で
クラスの終わり、危機感を抱く
卒業式が終わりました。私は5年生担任。6年生を送る会に始まり、卒業式の準備までせわしない3学期を過ごしました。その中で、子供たちはよくがんばりました。毎日、送る会の練習で休み時間はつぶれましたし、卒業式のための会場準備に汗を流しました。にもかかわらず、不満ひとつ漏らさずにがんばった子供たちには惜しみない拍手を送りたいと思います。
クラスも解散しました。
修了式のあとのこと。クラスの子供たちに最後の学級通信を読み聞かせ終わると、何人かが泣いていました。別れが悲しいというのは、それだけクラスや担任の私が好きだった表れであることを考えると、悪いことではないように思いました。しかし、同時に「危険だな。」とも感じました。
正直に言って、私は子供から好かれたい気持ちは大してありません。まあ、嫌われるよりはましかな、程度です。子供に好かれたいから教師をやっているわけではないので。それよりも、目の前の子供たちが、次の学年、これからの人生を楽しく、幸せに送っていってほしいと願っています。そう考えたときに、やはり別れにふさわしいのは涙ではなく、笑顔でしょう。なぜなら、前のクラス、前の担任のことなど考えている子供は過去に縛られて生きているだけに過ぎないからです。大切なのは、今、この瞬間です。新しいクラスになったときに、前のクラスや担任のことなど気にも留めず、元気に学校に行く子供に育てたいとさえ思います。
出会いも、別れも、子供にふさわしいのは涙ではなく、笑顔です。
お別れ会を最高のものにするために
必要な力は様々ですが…どんなクラスが育ったクラスと言えるでしょうか。
・企画を立てる力(リーダー性や独創性)
・話し合う力
・調整する力(妥協点を見つける。)
・仕事を準備する力(段取り力、責任感、持続性、独創性、協調性)
・仕事を確実にこなす力
・咄嗟の対応力
まだまだいろいろとあるでしょうが、このあたりで。
つまり、こういった力を意識して鍛えていかない限り、お別れ会は成功しないのだと思います。では、具体的にどんな場面で鍛えていくべきか。
もっとも疑似体験ができるのは総合の時間だと思います。
また、話し合う力や調整する力は普段の授業でも鍛えられます。仕事を確実にこなす力は普段の宿題の取り組み1つとっても鍛えられると思います。
とはいえ、こういった力を具体的な場面で指導するのは2学期以降でしょう。
1年間はお別れ会に通ず
先日、クラスでお別れ会をしました。結果から言うと、うまくいきませんでした。子供同士のトラブルがあったためです。折り合いをつけるということがまだよくわかっていなかったことと、計画の細部の詰めが甘かったことが原因です。
今回のお別れ会はほとんどすべてを子供が企画・立案・実行しました。私は口も手も出しませんでした。その結果が上記となりました。
手は打ってきたつもりだったのですが、つもりに過ぎなかったわけです。どんな手を使ったのか。それは過去2回のお楽しみ会で布石を打ってきたということです。1回目のお楽しみ会は教師主導、2回目は半分くらい教師が出て、残り半分を子供がやるというものでした。流れとしては今もって悪くなかったと思います。
では、何がいけなかったのか。
やはり、クラスが育っていなかったということにつきるでしょう。
うまくいかないお別れ会を見ながら、クラスの完成度はこのお別れ会に表れるなと思いました。どれだけ子供が自主性をもっているか。どれだけ子供が他人を尊重できるか。どれだけ子供が異なる意見に対して耳を傾け、調整できるか。どれだけ子供が自分の仕事に責任を持つことができるか、などなど。
ここから1つの教訓を得ました。
「4月。新しいクラスを受け持ったとき、ゴールを設定するならば、お別れ会である。そのお別れ会を子供たちのみで実施し、なおかつ過去最高のものにする。そのために4月からクラスを戦略的に鍛える必要がある。」
今年度の反省と原因の分析、そして対策 1
メモ書きです。流してください。
・クラスがゆるみすぎた
規律よりも自由を尊重したことが原因。そうなった最大の理由は9月以降にあり。なぜなら夏休み前までは規律の整ったクラスだったからだ。年間で最も大切なのは4月であるが、それで学級づくりは終わりではない。しばしば4月で学級が決まるというが、そうではないと思った。4月はやはり、あくまでスタートライン。スタートダッシュで成功しても、途中でへばったり、棄権してしまったりしては意味がない。4月が終わったとき、1年後のゴールを見据えて、どれだけ鍛え続ける覚悟があるかが大事。その覚悟と戦略がなかったのが失敗の最大の原因だと思う。では次年度はどうするか。最終的なゴールの姿を明確にすること。そのために、常に向上的変容を子供に求め、鍛え続けること。具体的には、毎月ごとの振り返りである。私だけではなく、子供たちも月々を振り返る。その際は1年間を通して変わらないチェックリストを作り、数値化、さらにクラスの現状を可視化する。つまり、理想の学級像を、より具体的な場面でそう適して、具体的な子供の姿をイメージできるかどうかが1つ目のポイント。さらに、理想の学級のために年間を通じて子供を鍛え続ける覚悟をもてるかどうかが2つ目。精神論で終わらないためにも、毎月のチェックと振り返りを子供と教師が実施して、クラスの今を数値化する。加えて、4月の段階から安全・安心のクラスづくりと同時に、協同的な学びの場と自立したクラス作りに向けて、種をまく作業をしていく。10月の後期スタートと同時に、教師がいなくても1週間学級が無事に運営されるクラスを目指す。
・言葉遣いが悪い。
これも上記と同様。ことあるごとに、言葉遣いの悪いことがどれだけ良くないかを伝えていくべきだった。つまり、私は今年一年、子供との戦いに負けたのだ。
・書く力が弱い。
原因ははっきりとしている。書く時間を作っていなかったから。国語の力、それも書く力は国語の時間のみで伸ばすことはできない。全教科をフルに使って初めて、書く力は伸びる。私の中で「書く力」を核にした学級経営を行っていなかったのが問題。来年度は「書く力」を中心に据えた学級づくりをしていく。では具体的な方策は?
・帰りの会で、毎日、振り返り日記を書く。
・すき間時間に言葉遊びをしたり、語彙を増やす活動を行ったりする。
・国語と理科を連動させて、理科説明文を書く。
・算数では「手順・理由・求め方」などを自作テストで問う。
・社会では気付いたことを箇条書きにする活動をしたり、友達の意見を聞き、自分はどう考えたのかを振り返りで書く時間を設ける。
・体育では各種ゲームのルールや遊び方を説明する時間を設ける。
・国語では視写の時間を設ける。
などなど。
4月から意図的・計画的に実施する必要あり。最終的にはどんな子供の姿を目指すのかは担当学年によるだろう。
・「何によって学級をまとめるのか」がなかった。
これだけはほかのクラスに負けないというものがほしい。この視点は今年初めて生まれたもの。来年度は「書く力」に焦点を当てる。教科で言えば国語。
・全員で遊ぶというのが機能しなかった。
本校では毎週水曜日が長休みと言って、35分間の昼休みが与えられている。これまで毎年、クラス全員で遊ぶ時間としていた。が、それが今年は機能しなかった。原因としてはまず、委員会活動があったことがある。また、走る系よりもドッジボールが好きな児童が多かったこともある。一方でドッジボールが苦手・嫌いな子供も多かった。すり合わせに苦労した。つまりはレパートリーが少ないのだ。そのため、最初の1か月間は教師が主導して、いろいろな遊びを設定してやる。ルールも作ってしまうのが良いと思う。さらにいうなれば、今年は私が運動会の実行委員だったため、ほとんど休み時間に子供といられなかったのも大きいかもしれない。そう考えると、無理に全員で遊ばなくても良いのかも。これは自分の校務分掌と兼ね合いを考えながらだろう。
・孤立児
今年一番悩んだこと。ある女子がクラスで浮いてしまったこと。やはり、本児の自尊感情を高めずして、いろいろな女子とかかわらせようとしたのが間違いだった。自尊感情が高まり、自分に自信が持てて初めて、他者と触れ合うことができると思うからだ。自分のことが嫌いなのに、他者を受け入れることなどできない。本児の自尊感情を高めるために、私はときおり係り活動や委員会活動でがんばっている姿を褒めるだけであった。が、これではあまりに弱かった。本児を褒めるには、やはり授業とテストだろう。(自尊感情は学力向上により高まるらしい。)まあ、決しておつむが良いわけではないが、(というより、かなり低い)そんな児童をいかにしてできるようにするかが教師の腕の見せ所。つまりは授業力と学習指導力にかかっている。そのうえで、適切な係りや委員会の配置をする。あとは、あまり関わりすぎないことか。教師依存型の子供に育ててはいけない。あくまで目指すは自立だ。