小学校教師クラメロンの日常

関西のみかんが有名な県に住んでいます。小学校教員。3.5.2.6.5異動1.4.特別支援学級.5.1という流れ。今年も生徒指導主任。

言葉の力

朝、グラウンドのライン引きを終えた。職員室に戻る。ベテランの先生が言った。

 

「○○さん、今日も寒い中ありがとう。」

 

若手ならばライン引きぐらい当然やるべきという考えに、私は与しない。それでも、世間体を気にして、しぶしぶながら、毎朝ライン引きをしていた。そんなときの一言だった。

 

これは昨年までいた学校の話。

 

 

 

「子供は褒めて育てよう。」

 

そう言う教師は多い。否定はしない。むしろ正しい。だが、我々教師は、どれだけお互いを認め、励まし、感謝し、敬い、称賛をしているのだろうか。

 

今年度、私は転勤をした。新しい市の新しい学校に、新しいアパートを借りて異動した。1年が経とうとしている。今、職員室の雰囲気は極めて悪い。

 

廊下で、夜の教室で、「校長がひどい。」「ちょっとの体調不良で休むな。」「~先生は力がない。」「管理職に経営能力がない。」などの悪口が絶えない。

 

愚痴や不満は必要だが、褒め言葉に比べれば非生産的である。

 

若手の私にできることは少ない。私がいつか学校に幾らかの影響をもたらせる存在になったとき、どんな言葉を職員室にあふれさせることができるのか。

 

教員の残業時間を増やしているのは誰か

こちらの記事に関して、考えたことを。
headlines.yahoo.co.jp

 

実際は、残業が数時間で済んでいる人もいますし、逆に持ち帰りがあって、目に現れない残業をしている人もいます。ですが、日に3時間程度の残業は、やっぱり相当数いるな、と感じます。

 

もちろん、人数を増やすといった、根本的な改善はしてほしいのですが、それとは別に、教員自身が何とかできることもあるではないかと思って、筆をとりました。

 

まず、これだけ残業時間が多い理由のひとつは、「残業代が出ないから」だと思います。

 

残業代が出ると、管理職としてはあまり残業してほしくないから、早く教師を帰そうとするでしょう。でも、残業代が出ない以上、「早く帰りましょう」なんて熱意を込めて言いません。むしろ「頑張っているな」と捉えている管理職が多いように思います。そうではなく、残業代は出ない。どうあがいても今後出ることはない。だからこそ、残業は無駄である!という意識を高める必要があります。

 

さらに一般の教員の中でも、「定時に帰らずに、仕事を頑張ることは良いこと」という思い込みがあります。

 

本来は逆のはずです。「定時に帰れるのは、仕事が早く、優秀な人」です。が、それが「子供のため」という素晴らしい言葉があるせいか、教員の世界では「子供のために、無償でも働くことは尊いこと。」という理屈に変わります。「子供のため」ならばすべてを犠牲にして良いのか。そうではありません。定時以降は「子供のため」の時間ではなく、「自分や自分の家族の時間」です。子供のことを一生懸命に考えるのは定時までにしたいです。そして、その方がメリハリがついていると思うのです。

 

また、残業時間が多い理由として、「生産性の意識が低い」ことも挙げられるでしょう。

 

例えば学年の打ち合わせ。来週の予定や学年で共有しておきたい事柄を書いた紙を1枚、主任の先生が作成して、各学級の教員の机上に置いておけば、大抵の連絡事項は伝わります。わざわざ椅子に座って話し合う時間を取らないときや場合があっても良いはずです。にもかかわらず、「来週の予定はなんだっけ?」から始まり、「国語の次の単元は~だね。どうしようか、~しない?」とその場で考えていく。生産性が低い!

 

それに加えて、教員自ら、勤務時間外に仕事を入れています

 

本校では毎朝、7時50分から、「朝のスポーツタイム」を設けて、始業の8時10分までの20分間、運動場を子供たちが走ります。教員も走ります。何かあっては困るからです。もちろん、勤務時間外ですから校長から指示があったわけではありませんが、若手が外に出ずに職員室にいるわけにはいきません。論理よりも空気。正義よりも職場の常識。美しい日本の姿です。

 

この時間、もちろん、給料は出ません。完全なボランティアです。でも続きます。なぜかって?「子供の体力がつくから」「これまでもやってきたから」「登校してから始業までの時間がもったいないから」・・・。

 

確かに、やらないよりはやったほうがいいでしょう。たとえ、3度を下回る寒さの中であっても、走ることはきっと、心肺機能を高めるのでしょう。それでも、です。どんなにそれがプラスになっても、「勤務時間外に活動を入れること」は絶対にやってはいけないことだと思います。際限がなくなるからです。もっと言えば、誰が運動場を監督するのか。誰がラインを引くのか、という問題があります。答えは、全部、若手です。一番、授業や学級経営に力を入れるべき若手が、一番苦労をして割を食うのです。むちゃくちゃですよ、これは。

 

さて、先の記事では、多くの方々が教員の大変さに同情してくださっています。本当に本当に、ありがたいことです。世間には教員以上に大変な仕事につかれている方はたくさんいるにも関わらず、です。そのような優しい方々のためにも、我々教員はこれからも身を粉にして、頑張り続けねばなりません。ですが、一方で、教員は自分たちの首を自分たちで絞めないようにするべきです。そのために何ができるか、今一度、教員自身が考え直す必要があるではないでしょうか。

 

 

 

 

校内若手研修会

を開きたいなーという話。

 

まだ影も形もない話です。

 

なぜ開きたいと思うのか。

 

先日、職員室で評価の話題が上りました。評価ってどうつければいいのか分からない!という話でした。

 

こういう話はなかなかできる時間がないのです。ベテランの方々は良いかもしれませんが、若手は本当に困ります。

 

技能教科の指導法にも悩みます。

例えば、図工の版画の教え方。体育の跳び箱指導法。家庭科のミシンの使い方などなど。

 

他にも、テスト返しの仕方、朝の会のパターンなど、何気ないこと、普段なかなか聞けないことを相談したり、教えてもらえたりする場を作りたいと思うのです。

 

校内にサークルを作るというと堅苦しいですが、ベテランの先生や何らかの指導に長けた先生を講師にして、若手研修会を開いたら、それはそれは、素晴らしいことではないでしょうか。

 

とはいえ、私は本校に来てまだ1年目。やるなら来年以降でしょう。まだまだ構想段階の戯言です。

 

 

語る子

私のクラスに、それはもう、滔々と語る子がいます。

 

黒板の前に立ち、チョークを片手に自分の意見、思いを語るのです。仮にA子としましょう。

 

2学期の学級目標を立てるときのことでした。

 

様々な意見が出てきました。

 

優しいクラスにしたい。元気なクラスにしたい。行動が素早いクラスにしたい。などなど。

 

それらをひっくるめて、「自分たちで動けるクラス」が良いのではないか、というのがA子の主張でした。

 

A子はチョークを持って言うのです。

 

「みんな、ミキサーって知ってる? 例えば、みんなの意見を果物とするでしょ。意見をミキサーに入れるの。(ここでミキサーの絵を書き出す。さらに、1つずつの意見から、ミキサーに向かって、矢印を書く。時間が掛かる。勘弁してくれよという私の内なる声。)ミキサーだから、ぐちゃぐちゃにかき混ざるでしょ。できあがったのが『自分たちで動けるクラス』ってこと。つまり、かき混ざったこれは、優しいクラスも、元気なクラスも、行動が素早いクラスも、全て入っているってわけ。分かりますか?」

 

「おおー!!」という声とともに拍手が。

 

私は、2年生なのに、よくもまあしゃべるなあと思いながら聞いていたのですが、他の子は以外と、真剣に聴いていました。たぶん、私が話すとき以上に、真剣に。

 

なるほど、子供は子供の中で育つという言葉は正しかったと思いました。

 

A子の姿は、以前、参観に訪れた、某県の小学校の子供達の姿にかぶりました。

 

願わくば、A子の良さが他の子に波及してくれると良いのだけれど。

 

厳しくも温かい教師

今、ダイヤモンド社刊『やり抜く力 人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』(アンジェラ・ダックワース)という本を読んでいます。

 

 

やり抜く力――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける

やり抜く力――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける

 

 

 その中で、賢明な育て方についての項があります。親はどのように子供を育てると良いのかが書かれており、育て方を4つに分類しています。

 

次のような形です。

 

 

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(※やり抜く力(アンジェラ・ダックワース)ダイヤモンド社より)

 

簡単に言えば、厳しくも温かい親や教師が最良ということです。

 

振り返ってみて、私は「独裁的な育て方」だったなと思います。

 

つまり、要求はガンガンするけれども、特に支援はしない。割に放任タイプ。うーん、嫌な教師だな、と。

 

厳しくも温かい先生は誰かと周りを見たとき、思い当たったのは、学年主任の先生でした。その先生がされていることは次の通りです。

 

○厳しさ

・規律重視

・だめといったらだめ

・怒鳴り方が尋常じゃない。

・厳格なルール

・聞くときは手遊びを一切許さない。

・スピード感重視

・基本的に給食は完食させる。

などなど。

 

ですが、この先生の凄さは、その温かさにあります。

 

○温かさ

・叱った後は絶対にフォローする。

・特別支援児を大切にする。全体の前で褒める。

・どの子も絶対に見捨てない。

・褒め方がすごく上手。(大げさに、優しく)

・叱り方もすごく上手。(怒鳴り声のときもあれば、諭すときもある。抱きしめるときもある。)

・保護者の相談にとても親身になる。

・全力で遊ぶ。

・一人一人についてとてもよく見ている。一人一人についての話題が豊富。

・子供の話題を職員室でよく出す。

・何より、子供が全員先生が大好き。

 

思えば、自分は学級経営を考えたときに、森ばかり見ていて、個々の木を見ていませんでした。学級崩壊を経験したからこその弱点かもしれません。

 

この本は素晴らしい良書ですが、「やり抜く力を育てる方法」という本来の趣旨よりも、私の教育観を大きく変えるきっかけを与えてくれた本として、とても心に残りました。

 

今年度も残り半年。厳しくも温かい、学年主任の先生のような素敵な教師になれるように、頑張ります。

匂い

Aちゃん「先生!私の体操ズボンがなくなってしまいました!」

私「誰かが間違えてカバンに入れちゃったかもしれないね。近くの人のカバンの中を見てみましょうか。B君、カバンの中を見せてもらいますよ。…ズボンが2つありますね。片方は名前なし。Aちゃんのものですかね?」

Aちゃん「うーん、分かんない。」

すると、

C君「先生!ズボン貸して!匂いを嗅げば分かるよ!」

私「え!?」

匂いを嗅ぐC君。

C君「やっぱり、これAちゃんのだ!」

Aちゃん「えっ、本当!?」

つられて匂いを嗅ぐAちゃん。

Aちゃん「ほんとだ!私のだ!」

C君「ほらねー。」

私「まじか…。」