朝、グラウンドのライン引きを終えた。職員室に戻る。ベテランの先生が言った。
「○○さん、今日も寒い中ありがとう。」
若手ならばライン引きぐらい当然やるべきという考えに、私は与しない。それでも、世間体を気にして、しぶしぶながら、毎朝ライン引きをしていた。そんなときの一言だった。
これは昨年までいた学校の話。
「子供は褒めて育てよう。」
そう言う教師は多い。否定はしない。むしろ正しい。だが、我々教師は、どれだけお互いを認め、励まし、感謝し、敬い、称賛をしているのだろうか。
今年度、私は転勤をした。新しい市の新しい学校に、新しいアパートを借りて異動した。1年が経とうとしている。今、職員室の雰囲気は極めて悪い。
廊下で、夜の教室で、「校長がひどい。」「ちょっとの体調不良で休むな。」「~先生は力がない。」「管理職に経営能力がない。」などの悪口が絶えない。
愚痴や不満は必要だが、褒め言葉に比べれば非生産的である。
若手の私にできることは少ない。私がいつか学校に幾らかの影響をもたらせる存在になったとき、どんな言葉を職員室にあふれさせることができるのか。