小学校教師クラメロンの日常

関西のみかんが有名な県に住んでいます。小学校教員。3.5.2.6.5異動1.4.特別支援学級.5.1という流れ。今年も生徒指導主任。

学級担任が大変なわけ

今日ふと思いついたこと。なぜ学級担任が大変なのか。

 

それは

 

「小さな、それでいて結構シビアな判断を、1日中何十回もしているから」

 

です。

 

1つ1つの判断は小さいものですが、もしも判断を間違えると、学級があっという間に奈落の底に落ちるような決断を常時しているのが担任です。

 

例えば、子供が授業開始後、次のように言ってきたらどうしますか?

 

「先生、教科書がない。」

 

1年生では「あるある」ですね。

 

しかし、これを笑顔で許すわけにはいきません。次の2点の指導が必要だと即座に「判断」し、実行に移す必要があります。

 

1 授業が始まってから忘れ物について言いに来たこと

2 「教科書がない」と言うのではなく、「教科書を忘れたので、貸してください」など、対処法まで言うこと。

 

1年生には難しい? いえいえ、これをそのまま放置していたら大変なことになります。子供たちは「授業が始まってから忘れ物があることを先生に言えばいいんだ」と誤学習してしまいます。その子の行いによって、授業が止まってしまうのですから、ほかの子が真似をするのは絶対に避けなければなりません。

 

また、言い方にも指導が必要です。忘れたことを述べられるのは1年生にしては立派な部類に入るのかもしれませんが、小学校の最初だからこそ、「自分はどうしたいのか。」「先生に何をしてもらいたいのか。」を言えるようにしつけていく必要があります。そうしなければいつまでたっても先生に何かしてもらわないと動けない他律的な人間になってしまいます。ちなみに、対処法が分からなければ「教科書を忘れました。どうすればいいか教えてください」と言えば良いのだとも教えています。

 

これはごくごく小さな、ささやかな一場面を取り上げましたが、30人を相手にしていると、同様の場面はいくらでも出てきます。これらの判断を瞬間、瞬間に行い、しかもさばいていくことにこそ、学級担任の仕事の過酷さがあると思います。

 

今日の私の学級の「判断」の一部は以下の通り

・8時15分の始業のチャイムに間に合わなかった児童3名への対応。

・8時20分に遅れてきて、しかも服をびしゃびしゃにして登校した(雨だったから)児童への対応。

・8時20分時点で、欠席連絡が分からなかった児童1名への対応。

・8時25分宿題を集める際にノートの向きを揃えていない児童数名への対応。

・8時25分、朝の挨拶をする際に横を向いている児童数名への対応。

などなど。

 

上記はどちらかというと良くないことが多いのですが、学級では素敵なこともあります。例えばトイレのスリッパが整っていたときに、どう判断して、教師はどう子供に声を掛けるのかなどです。

 

朝から昼過ぎまで判断の連続をするからこそ、放課後、私はぐったりしているのだなと気づけたこと、それが今日の一番の収穫です。

大変な1年生担任記⑥

徐々に、徐々にではありますが、喧騒に満ちた私のクラスも、少しずつ落ち着きを見せ始めました。教師の話が入るようになってきました。

 

それは喜ばしいことです。ですが、そうなるとやはり気になるのは「あの子」です。

 

そう、一人飛びぬけて大変な「あの子」です。

 

その子だけ完全に別世界なんですよね。

 

例えばクラスの全員がノートに数字を書いている中、一人全く別のことをする。お絵描きをしたり、鉛筆で遊んだり。しかし声を書けても、その子はお絵描きをやめない。無理やり止めてもいいが、そこで起こるであろうパニックと比べたらと考えると、それ以上はこちらも何も言えない。

 

あるいは、クラスの全員が話し合いをしているとき。道徳で自分の意見を発表する中、その子もまた手を挙げる。指名をすると答えるのですが、その回答が全く文脈に合っていない。例えるなら、「大きなかぶはどうなったの?」と問いかけて「抜けた!」という返答を求めているのに、「ピラミッド!」(自分の好きなもの)と叫んでいる感じ。

 

今はまだ平仮名を書いたり、おはじきを並べたり、朝顔の種をまいたりといった、非常にシンプルなことしかしていません。ですがだんだんと話し合いをしていったり、グループごとの学校探検をしたりといった、応用的な授業が増えてきます。そのときどうするべと悩みます。

 

最近、インクルーシブ教育が話題です。しかし30人を教えながら、いつパニックを起こすか分からない一人をどう育てていくのかは非常に難しい問題です。「それでもやらなければいけない!!」と声高に主張される方々には、ぜひそのようなクラスで授業を立派にしていただきたいものです。でも、なんといっても「そこまでの仕事に見合った給料はもらっていないなあ。」と思ってしまいます。

 

話し合いのさなか、お絵描きをしているその子は何も困っていません。すこぶる楽しそうです。誰も迷惑をこうむっていないのであれば、その子の世界の中で好きなことをしていても、まあいっかと思ってしまう自分がいます。

 

 

教員採用の志願者を増やすべきか、質を高めるべきか。

教員志願者が減っているそうです。教員の質が低下するのではないかと恐れる人がいますね。教員採用倍率が3倍を切ると、質の低下の危険があると聞いたことがあります。

 

ただ、倍率については、そろそろ再び上昇すると思っています。なぜなら団塊の世代の退職が落ち着くからです。志願者の減り以上に、採用枠が減っていくのです。

 

それでも、このままでは志願者自体は減り続けると思います。少子化により大学への入学者が今後も減っていくだろうからです。教員への魅力うんぬんではなく、志願者年代の人数が減るからです。ただ、これらはあくまで私の予想です。

 

では、志願者をどうすれば増やせるのか。簡単な方法として「教員免許について制限を緩くする」ことがあります。最近、教員免許を持たずとも、社会人経験があればOKとする自治体もあるそうですね。

news.yahoo.co.jp

記事は高校や中学の事例ですが、小学校でも今後広がるかもしれません。

 

このようなことをすれば、教員の志願者は増えるでしょう。門戸を広げることで、その中から優秀な人を探すという策ですね。タイトルの「教員採用の量を増やす」とはこれに当たります。

 

もう1つ、考え方があります。それは「志願者の数が減るのは仕方がない、むしろ採用した人の質を高めるべきだ」とする考え方です。

 

各種研修(初任者研修や中堅研修)やOJTの充実が定番ですね。

 

こういった問題は二項対立ではなく、どちらも重要なのは言うまでもありません。

 

ただ、個人的には後者の「質を高める」方を推します。

 

志願者がいくら増えても、仕方がないと思うからです。その理由は以下の通り。

 

①採用試験そのものがいい加減。

 私の県は採用試験が2次試験までしかありません。1次は筆記、2次が集団面接と個人面接です。たった2回の試験でよく適性が分かるものだと感心します。しかも面接官はだいたい管理職と教育委員会です。一番現場で子供と関わっている「学級担任」を入れずしてどうするのだと私は思います。

 

②どれだけ志願者が増えても一定数、変な人はいる

 人気企業ランキングの上位企業に、変な人はいないのでしょうか? ここで言う変な人とは、不祥事を起こしたり、そこまではいかなくても職場を乱したり顧客からクレームを常時つけられたりする「仕事のできない人」です。いやいや、どの職場でもきっといるはずです。門戸をいくら広げても、それがイコール質の向上にはつながらないのではないでしょうか。

 

③志願者を増やすと質が下がるかもしれない。

 昔「でもしか教師」という言葉がはやったそうです。「教師でもなるか」「教師にしかなれない」です。教員免許がいらなくなれば、そういった人が増える可能性はあります。門戸を広げることは、やはり志願者の質を高めることにつながるとは限りません。

 

むしろ「採用した人の質を高める」方が、取り組みやすいでしょう。

 

簡単に言えば「研修をもっと現場で役立つものにする」ことです。

 

「生産性」(伊賀康代)にも書かれている通り、講演会のような明日使えるかわからない知識を得る研修ではなく、「ロールプレイ研修」を中心に据えればいいと思います。

・保護者がクレームを言ってきたとき、どうするか?

・給食中に吐いてしまった子がいたら、どうするか?

・新出漢字の教え方は?

・上靴がなくなったと言ってきた子に何と返すか?

などなど。

 

あと、できれば「あまりにこの人はどうなの?」という人をどうにかするシステムもあるといいですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

大変な1年生担任記⑤

今月のテーマは「落ち着かないクラスを落ち着かせる」です。

 

なぜ今年のクラスは落ち着かないのかなーと考えていると、次の2つの要因が見えてきました。

 

①とびぬけて大変な子が1人いる。

 

これは前回までにも書きました。パニックを起こすと周りの友達に危害を加える子です。

 

②声の大きい子が多い。

 

今週発見したことです。

 

よく、「声のものさし」を掲示している学級があります。「ありさんの声で話してね」と指示したり、「みんなに向けて話すときはどのくらいの大きさがいいかな?」と問いかけたりすることができます。

 

その「声のものさし」で言えば、「体育館や運動場で話す声量」を教室で出してしまう子がかなりの数いるのです。

 

非常に困ります。

 

聴覚過敏の子供もいるのですから、何とかしてほしいものです。が、子供とはそうやって「周りを気にせず声を出す」存在です。

 

私がひたすら取り組んでいることは、常に「声のものさし」に戻すことです。

 

「今の声はライオンの声だよ。」

「休み時間であっても、教室ではどの声までなのかな。」

 

周りを気にせず、大声を出してよいのだという考えは何とかしなければいけません。

大変な1年生担任記④

GW中「さて、クラスをどうするか。」と考えていました。

 

結論としては

「落ち着いたクラスをつくる」

が当面の目標になりました。

 

言うは易し行うは難し。パニックを起こす子だけでなく、常時離席をする子、場を考えずに大声を出す子、すぐに手を出す子などなど、がちゃがちゃする要素がたくさんつまったクラスです。

 

どんな手立てを講じるのが良いのでしょうか?

 

私がGW中に出した結論はこれです。

 

「聞く力を高める」

 

学習の基本は読むことでも話すことでも書くことでもなく、「聞くこと」だと思うからです。教師の指示や説明を聞くことができなければ、何も進みません。

 

聞く力といっても、実に幅があります。私はとにかく

1 最後まで話を聞いてから質問をする。

2 先生が話し始めたら、手いたずらをせず、先生のほうを見て黙って聞く。

が具体的な目標としては妥当かなと思います。

 

具体的な手立てとしては

・「聞くトレ」(上嶋惠氏)を行う。

・1日のうちで静寂な時間を何度もつくる。(読み聞かせ・塗り絵・瞑想)

・声の物差しの掲示と説明

 

でしょうか。あとはひたすら、全員が話を聞く姿勢を見せるまで教師が話さなかったり、すぐに聞く態度をとった子を褒めたりといった基本的なことをしていくしかありませんね。

 

夏休みごろには少しは落ち着いたクラスになるといいなと願います。

 

参考文献:

 

 

 

大変な1年生担任記③

タイトルに「大変な」を入れました。

実際、大変です。

 

それでも心は不思議と病みません。

 

なぜなら「どこか冷めている自分」がいるからです。ときどきクラスが大変で休職される方がいらっしゃいますが、優しくて真面目な方が多いように思います。私はどちらかというと「冷酷」なタイプです。

 

いくら大変な子を受け持とうが、究極を考えると次の3つを思い出します。

 

1 どれだけ大変な子がいてクラスが荒れようと、給料は下がらない。

2 どれだけ大変な子がいてクラスが荒れようと、首にはならない。

3 どれだけ大変な子がいてクラスが荒れようと、命は取られない。

 

逆に「給料上げろよ!」と思っているぐらいです笑

 

もっともっと突き詰めれば「自分の子供ではない」となります。が、大変な子も、将来その地域に住む可能性は十分に考えられるので、非行に走らないようにしないとなとは思います。公教育とは未来の治安を守る役割があると考えているからです。

 

優しくて真面目な先生ほど

「もっと自分がしっかりとしなくては」

と思いがちですが、そんなこと考える必要はないと思うんですよね。

 

「問題を起こしたらそのクラスの担任のせい」みたいな考え方が蔓延っているから、クラス担任を敬遠する人が増えてしまい、教員のなり手も減ると思います。クラス担任を、しかも大変なクラスの担任をしているただそれだけで、その先生は十分職責を果たしていると考えます。

 

大変なクラスを受け持ったら、「子供を成長させなければ!」などという高尚な考えは置いておきましょう。「子供を成長させたいのなら、人と金を持ってこい!」と管理職に言うくらいでちょうどいいのです。

 

1年生担任記②

大変な子のパニックは続いています。

 

週に1回ぐらいでしょうか。毎日続くのかなあと思っていたので、週に1回ぐらいならまだ何とか(自分が)なっています。

 

なぜパニックを起こすのでしょうか?

・上手に絵を描けないから

・じゃんけんで負けたから

・給食で嫌なものがでたから

・鬼ごっこをもっとやりたかったから

 

ここまで考えると、ある程度、予防策が思いつきます。例えば次のことです。

・うまく描けなかったときのために、たくさんの紙を用意しておき、いつでも描きなおすことができるようにする→効果〇

・じゃんけんに負ける練習が必要。毎日「さようなら」のタイミングで教師とじゃんけんの練習をする。→効果不明

・給食の献立を家で確認してきてもらう。給食は嫌なものは取らなくてよいことを伝える(保護者の了解済み)→効果〇

・鬼ごっこをやる前に「じゃあ今から1回鬼ごっこをするよ」と伝えておく→効果不明。次回、取り組んでみる。

 

それでもパニックが起こったらもう「仕方ない」と思うしかないかなと。

 

今は「どんなときにパニックが起こるのか?」を調査しておくのが大事です。