小学生のお子さんがいらっしゃる方は、国語の教科書をペラペラめくってみてください。読み物教材(物語文と説明文)が少なくありませんか?私は、もっと読み物教材は多くあるべきじゃない?とずーっと感じています。
私の学校では3学期が53日間あります。毎日1時間は国語があるので、終業式までに国語の授業は少なくとも53時間はあります。
手元の国語の教科書を読むと、3学期に学習すべき読み物教材はなんと、2編だけ。しかも、今は昔のように、場面ごと段落ごとねっとりとなめるように読む授業はしません。1編を10時間に満たない時間で読み終える場合が多いでしょう。2編の授業時間を合わせても20時間には届きません。どの教科書会社も大同小異だと思います。
では、残りの時間は何をするか。漢字の学習をしたり、類義語・対義語、ことわざや慣用句を学んだりします。某教科書には1年間を振り返り、作文を書かせる単元もありました。
漢字を覚えたり、言葉の意味を考えたり、友達と意見を交流(「発表会のやり方を知ろう」のような学習)したりする学習は無論、大切です。しかし、国語の中心にあるべきはやはり何といっても、「読む」ではないでしょうか。
たぶん、昔はもっと読んでいた、読み込んでいたと思うのです。先ほど、今の国語は場面ごとに読む学習はしないと書きました。言い換えれば、昔は、場面ごと丁寧に細かく読むだけの時間が読みの時間として与えられていた、ということです。しかしゆとり教育から脱却。ローマ字を3年で習うようになるなど、学ぶべきことがかなり増えました。PISAショックにより、表現力に磨きをかけるため、話し合いや物を書く単元が増えました。極めつけは言語活動です。
インプットからアウトプットへ。それが時代の要請であることを私は否定しません。ですが、大して中身も理解していないのに劇をしたり、紙芝居を作ったりしてどんな意味があるのか疑問です。それならば同じ作者の別の作品や別の教科書会社に載っている作品を読んだほうがいいと思います。1年の振り返りとして作文を書くこともいいでしょう。でもそれを10時間以上かけて行う必要はない気がします。話し合いの仕方を勉強する、より良い伝え方を学習する。それも大事ですが、より大切なのは読みの力の育成ではないでしょうか。
大切なことはいくらでもあります。しかし全てをこなしていては時間が足りません。何を重視するのか。今の国語の教科書は「話す、聴く、読む、書く」という4つの力を、どれも大切にしすぎだと思います。軽重をつけるべきです。そして重きを置くべきは何と言っても「読み」ではないでしょうか。中身のない人が話す言葉は重みがありません。読みを通して語彙は増え、文章構成を学び、結果、書く力が高まります。相手が何を言っているかをより深く汲み取るには、何度も文章を読み返す練習が大切でしょう。
「読み」を核にすえた国語にすべく、読み物教材をもっとたくさん教科書にいれてほしいなー。いやいや、ぜひ入れましょう!