別に「ピンチはチャンス」と言うつもりはありませんが、子供同士のトラブルが起こったとき、「ああ!どうしよう!困った!!」と思う必要はありません。
逆です。
「ああ、子供たちにとって、いい勉強の機会になったな。」
と考えましょう。
数年前、私の学級で次のようなトラブルが起こりました。
下校中のことです。
その日、科学クラブでスライムを作ったようです。
数人で合作をしたようで、かなり大きなスライムだったよう。クラブをしているときはとても楽しかったようですが、いざ持ち帰るときになって、困ったことになりました。誰が持ち帰るのか。
作っているときは良いのですが、家には持って帰りたくありません。なにせべとべとしているから。
数人で押し問答になった結果、ある男子児童が持って帰ることに決定。
ただ、ランドセルにそのまま入れてしまったので、ノートやら教科書やらにべとべとになってくっついてしまいました。
翌日、ランドセルやノート類と共に、保護者から(結構お怒りの)連絡ノートが来ました。
そのとき、私が思ったことは何か。
「これは、いい勉強の機会になるな。」
です。
保護者としてはたまったものじゃあないでしょうし、その男子児童にとっても辛かったでしょう。が、それも学びなのです。
翌日、私は関係児童を集めて事実確認をしました。その後は「どうすれば良かったのか?」の指導です。
このトラブルには様々なターニングポイントがありました。
・スライムを作った後、数人で話し合ったとき、一人の男子児童に押し付けてよかったのか?
・どのような話し合いをするべきだったのか?
・持って帰るとしたら、どのように持って帰るべきだったのか?
・自分が持って帰るとしたら、何をしなければならなかったのか?
彼らが出した結論は以下の通り。
「話し合いでは、『誰が持って帰るか』ではなく『どうすればみんなが誰一人困ることなく、帰れるか』を考えるべきだった」「持って帰るのが嫌だったら、先生に頼んで捨ててもらえば良かった」「もしも誰か一人でも納得していなければ、とりあえず置いて帰るべきだった」「翌日、先生に言えばよかった」「持って帰るのなら、ビニール袋を先生にもらえばよかった」でした。
このようなことは、この先、いろいろなところで、形を変えて出現するでしょう。
「この選択をしたら、近い未来に何が起こるのか?」
予測力を高めると言ってもいいかもしれません。
そして予測力を高めるには、失敗から学ぶしかないのだと思います。