小学校教師クラメロンの日常

関西のみかんが有名な県に住んでいます。小学校教員。3.5.2.6.5異動1.4.特別支援学級.5.1という流れ。今年も生徒指導主任。

吹奏楽はオワコンか

中学、高校、大学まで約10年間、吹奏楽部に入っていました。

 

吹奏楽曲は今でも聞きますし、しばしば地元の学校の演奏会も聴きに行きます。

 

しかし、もう吹奏楽に未来はないのではないかなーと思います。

正確に言うと「明るい未来が見えにくい」ですね。教育界の吹奏楽は特に、です。

 

理由はいろいろあります。

 

まず、何と言っても、子供の数が減少していること。

 

吹奏楽は一定数以上の人数が必要です。吹奏楽コンクールは人数によって部門が分かれますが、最も有名なA編成(全国大会まである)は50人近くの人数が必要とされます。規定上は30人ぐらいでも参加可能ですが、上の大会を目指すとなると人数は多い方が有利。さて、これから少子化が加速する中、強豪私学の高校はともかく、公立の中学校でそこまでの人数を1つの部活動が獲得できるのでしょうか。

 

となるとA編成ではなくB編成やC編成など、人数が30人以下の編成の部門に参加する手もあります。ただ、それらの編成の難点のひとつは、上位大会がないことです。せいぜい支部大会。モチベーションが上がるのでしょうか。

 

次に、吹奏楽は他の部活動以上に、運営費が多くかかること。

 

運営費とは部費ではありません。楽器や楽譜の購入費です。楽器はウン十万円が基本ですし、コンクールで使うような楽譜は数万円します。さらにチューナーやメトロノーム木管楽器はリードが必要です。なんとリードは消耗品。クラリネットは10枚のリードで3000円以上します。余談ですが、私が学生の頃に比べて楽器や付属品の値段が上がっているように感じます。円安の影響でしょうか。

 

これらの運営費を誰が払うのか。

保護者? 普通に考えればそうですが、保護者もお金がありません。

自治体? 行政にそんなお金はありません。

学校? もっとありません。

 

さらに、教員の働き方改革です。

 

教員の仕事のブラックっぷりが世間に明らかになってきました。一般の方の月平均残業時間は20時間少々のようですが、教員は約45時間と言われます。2倍です。

 

働き方改革をする上で、改革の対象となるのが「部活動」です。全国的に、平日の練習時間は大きく減り、練習は土日のどちらか片方の午前中のみ…が多くなっているのではないでしょうか。

 

吹奏楽の苦しさはここにあります。例えば中学で、楽器を持ってから数か月程度ではとても人前で吹けるようにはなりません。一日数時間、休日も全て返上で練習しているのならば話は別ですがね。ただ、サッカーや野球では、ある程度小学校でやっていたり、運動センスのある子がいれば、試合の形はとれます。吹奏楽は不可能です。つまり、他の運動部以上に、練習時間が必要なのに、中学に入ってきたとき、ほぼ全員が初心者という点が吹奏楽の苦しさです。

 

そうすると、練習時間が足りない→本番をあまり経験させられない→本番の楽しさが分からない→つまらない→練習へのモチベが下がる…になりかねません。

 

ただ、個人的なことを申し上げれば、そもそも部活動は教育課程外ですから、教員の仕事から外すべきだと思います。ですので、部活動を外部委託した結果、日本の吹奏楽文化が衰退することを危惧している方がいらっしゃいますが(例:日本吹奏楽連盟理事長→「部活動指導を希望しない教師には顧問をさせてはいけない」という国の方針が徹底されれば、吹奏楽活動が衰退してしまうことは火を見るより明らかです。)そもそも吹奏楽文化という重荷を教員に背負わせたこと自体が大問題。吹奏楽文化を何とかしなければいけないのは、吹奏楽連盟をはじめ、吹奏楽に関わっている方全員ではないでしょうか? 教員に責任転嫁をするなど、無責任にもほどがあります。まあ、日本吹奏楽連盟の理事長が教員という時点で、大きな闇を感じますが。

(引用元:http://www.ajba.or.jp/00ajba/07_pdf/kaihou/suisougaku222.pdf)

 

 

 

以上、考えれば考えるほど、学校における吹奏楽は衰退していくと予想します。「オワコン」と言ってもよいかもしれません。

 

とはいえ、ここで言う「学校」とは、公立中学校や一般の高校であり、強豪私学の高校や大学ではありません。それらはきっと今後も吹奏楽の世界を華やかにしていくことでしょう。しかし煌びやかな頂点とは裏腹に、裾野は荒野と化してしまっているかもしれません。そうなると、吹奏楽のプレーヤーだけでなく、それにかかわる人々、例えば後進を育てる方(プロ)や楽器店などにも影響が出るでしょう。全国各地にある楽団もいずれは消滅していく恐れがあります。

 

どうすればいいか?…ですって?

 

いやー、厳しいでしょう。日本全体の経済と出生率が上昇しなければ。

 

日本の吹奏楽は学校の部活動によって支えられてきた面が大きいです。今しばらくは過去の蓄積があるため、何とかなると思います。しかし、いずれかの段階で日本の吹奏楽文化はすたれていくでしょう。「吹奏楽? ああ、そういえば昔、学校にそんな部活があったね。でも数人だけが入っている、おちゃらけたサークルでしょ?」みたいな。