不登校の児童生徒が増えているのは周知の事実。では、なぜ増えているのか? 原因は様々でしょう。が、学級担任として、生徒指導主任として子供と関わってきた現場の人間という視点で述べてみます。なお、全て私の仮説(予想に過ぎないか)です。統計的なデータがあるわけではないので、「へー」ぐらいでお願いします。
理由1:共働きの夫婦が増えた
たぶん、データはきっとあるでしょうが、最近共働きの家庭が増えたなと思います。社会構造の変化や昨今の日本の経済的問題が背景にあります。
共働きの夫婦の子供は、専業主婦の家庭の子供に比べて、いろいろとリスクは抱えている気がします。不登校のリスクもそうですし、落ち着きのなさや学力の低下などのリスクもあるでしょう。考えてみれば当然で、それだけ親の目が子供に注がれなくなるのですから。親としても仕事で疲れている中、子供の世話をするのは大変です。両親が共に教員の子供が、結構荒れるというのは、このあたりに理由があるように思います。
不登校になるのは、「心のエネルギー」が充分に溜まっていないからだという説があります。家庭で親からの充分すぎるほどの「心のエネルギー」補給がなされていない子が増えているように思います。
理由2:親世代の社会性の減少
核家族化が進んで久しいです。祖父母と住んでいる子供の方が圧倒的に少ない現代、親世代も核家族で育てられた人が多いでしょう。そのせいか、親世代のコミュニケーション能力の低下もありえます。以前、ある方がおっしゃっていました。子供1人親1人の家庭では、コミュニケーションのつながりは1つだけ。子供1人に親2人の場合は子供と親それぞれ、親同士、最後に3人と4通りのつながりがあります。子供二人に親二人は?11通りです(たぶん)。もしもここに祖父母を加えたら6人家族ですから、一気にコミュニケーションのつながりの数が増えます。今の時代は、このつながりの数がかなり少ない、だから社会性が減っていると。なるほどなと思いました。
理由3:休むことへのハードルが下がった
新型コロナウイルスが学校にもたらした大きな影響の1つです。
コロナが流行る前までは、「学校は行くものだ」という意識が社会にも保護者にも学校にも根強くありました。しかしコロナが流行り「無理して登校させない」という考えが広まりました。少しでも体調が悪ければ欠席するのが普通になりました。
その結果、休むことへのハードルが一気に下がってしまったように思います。コロナの流行は終わりを告げようとしていますが、一度下がったハードルはもう元には戻らないように感じる日々です。
理由4:変化に適応しない学校
上記の様々な理由を踏まえて、学校はどう対処すれば良いのかを考える必要があります。が、学校は特に何も考えず(考える余裕もなく)、これまで同様の在り方で子供に接しようとしています。
新生徒指導提要は発達支持的生徒指導が大事だとうたっていますが、そもそもの学校の在り方そのものを考え直す必要があるかもしれません。例えば大胆な施策として、学校の完全自由化をしたり(どの学校を選んでもよい)、20人ほどの小規模学級にしたりするなど。洋服に子供を合わせるのではなく、洋服を子供に合わせるのと一緒ですね。
理由5:弱体化する学校
少し前までの学校と今の学校の大きな違いの1つは、学校が弱くなって、保護者に何も言えなくなったことがあります。少しでも厳しいことを言うと、学校を休ませたり、教育委員会に言ったりする保護者が増えてきています。保護者のお客様化は止まりません。そしてそれに慌てふためいたり、毅然とした対応ができなかったりするのが今の学校です。先にも書きましたが、完全な学校自由化をしてしまえばよいのです。「こちらの学校に来たくないのであれば、他の学校に行ってください」と言えるからです。しかし、それが今は言えない。
弱体化という意味では、教師の質も下がっていくでしょう。志願者数が減っているのだから当然です。
以上、いくつか書きましたが、思いついたら追記します。