保護者にとっての話。
子供に対してではなく、保護者に直接。
どういうことか。
例えば
「○○さんは授業中に手いたずらが多いですね。」
「友達とのトラブルが1日数回あります。」
「全体の指示に従うことができないことが多いです。」
「授業中、ほとんど何もやりません。お絵描きをしています」
「当番の仕事を忘れることが多いです。」
「発表をすることはあまりありません。」
など。
最近の特に若い先生方は、家庭訪問や個人面談のときにも、保護者にとって耳の痛い話をしません。保護者とのトラブルを恐れるからです。
かつては教師の権威があり、教師の指摘に素直にうなずく保護者が多かったことと思います。今は全く違います。子供も保護者もお客様化しているので、教師は家庭への刺激を極力避けます。
しかも小学校では多くの場合、1年間で学級担任は代わります。「この1年だけしのげばいいや」と考えがちです。わざわざ保護者と戦う必要はないのです。
しかし、この考え方で一番困るのは子供です。
「あれ?この子、他の子に比べて何か違うな」に最速で気付くのは必ずしも保護者でなく、常に子供を他の子と自然に比較している教師かもしれません。気付いた段階で、すぐに手が打たれていく子と、そのままにした子には数年後、大きな差が出ます。療育は早期から取り組んだ方が効果的ですし、小学校高学年や中学校になってから学力の取返しを図ろうと思っても厳しいでしょう。
教師から嫌なことを言われたら、保護者は辛いでしょうし、言い返したくなると思います。そこを受容できるかどうか。
教師サイドは、厳しいこともきちんと伝えていける勇気があるかどうか。教師側に求められるのは、もしもクレームがきたときの流れを決めておくことです。面談では、言葉の使い方には気を付けつつも、手を打つべき子供に必要な支援策を提示するべきです。そのためには全てのクレームは管理職が対応するなどの、組織としての胆力が不可欠でしょう。
厳しいことを言わないのは教師としても保護者としても楽ですが、ただの問題の先送りです。