小学校教師クラメロンの日常

関西のみかんが有名な県に住んでいます。小学校教員。3.5.2.6.5異動1.4.特別支援学級.5.1という流れ。今年も生徒指導主任。

修学旅行などの班決め問題

高学年になると宿泊活動があります。

 

いわゆる修学旅行や自然体験施設での宿泊です。非常に気を遣う行事です。

 

当日ももちろん大変ですが、私が一番嫌だなと思うのが、班決めです。

 

どうやって班のメンバーを決めるのか。これは教師によって本当に様々です。

 

一番分かりやすいのは「自由」ですね。

 

子供たちが自由に、同じ班になりたい人同士で組むというもの。この方式の問題は、余ってしまう子が出ることです。一人ぼっちの子が出るかもしれないため、担任としてはかなりの自信がないと難しいやり方です。子供は「好きな人同士」という言葉をよく使いますが、なかなか自分を出せない子や、おとなしめの子にとっては残酷なワードだなと思います。

 

ときどき「以上のことも含めて、子供に考えさせる」という先生もいらっしゃいます。すると子供たちの中で解決策が出てくるそうですが、私はしたことがありません。うまくいかなかったときのことを考えると、ちょっと勇気がいりますね。

 

次に分かりやすいのは「くじ引き」です。

 

席替えをくじ引きで決めた人は多いでしょう。実は私の班決めは基本的にこの「くじ引き」です。一人ぼっちの子が出ないというメリットがある反面、担任としては「絶対にこの子とこの子は離したい!」という組み合わせが生じることもあります。保護者や子供から事前に「それならば納得できる」という理由を伝えられた場合は、くじ引きに細工をすることもありえます。私の場合、かつて場面緘黙の子が「この子となら一緒にいると安心できるな」と思える子がいました。そこでちょっとくじ引きをいじったことがあります。

 

くじ引きをするにあたり、最大の障壁は「子供たちの理解」だと思います。子供たちにとって一生の思い出になりうる活動なので、できる限り仲の良い人と行動したい気持ちは私も分かります。それでも「くじ引き」を強行しようとしたとき、担任と子供たちの間の距離がどうなるかというリスクがあるのです。

 

ちなみに私はその対策として、年度当初から、様々な活動をくじ引きで行うようにしています。くじ引きを普通なものとするのです。また、「宿泊活動はあくまで学校の活動である」ことを強調し、仲良しの子とどうしても一緒に泊まりたいのならば休みの日にどうぞ、と伝えています。

 

面白いなと思った方法は「子供にアンケートをとる」というものです。

 

私が見たアンケートは、子供たちに「この子と一緒になりたい子を3名まで書いてよい。この子とだけは離してほしいという子も3名まで書いてよい。どちらも特にいなければ、書かなくてもよい」というアンケートでした。子供たちに、「一緒になりたい子」のうち、1名は一緒にする。だが、離してほしい子も1名までなら我慢してほしいと伝えるのです。集約後は教師が班決めをします。デメリットは、教師の負担でしょう。結構、大変そうです。しかもここまでしても、班決め後に「先生、やっぱり○○さんと一緒は嫌です」という声が出てくることもあります。

 

私は2段階で決めることもありました。

1段階目として、子供たちに「決め方」を話し合わせます。すると「自由」と「くじ引き」で拮抗しました。そこで2段階目として「最初に自由に決めてよい。10分たっても決まらなかったらくじ引きにする」というもの。結果、私のクラスはくじ引きになりました。

 

他に、折衷案もありますね。

 

これもかつて私がした方法ですが、「男子と女子に分かれ、それぞれ自由に決める。その上で男女のペアは先生が決める」というもの。異性間のトラブルによる「この子とだけは一緒になりたくない」は、同性間よりも少ないように思います。この方式は結構、評判がよかったように思います。

 

ただ、こうやって班決めの方法をいくら考えても、なかなかよい結果にならないことが多いと思います。

 

そう思うのは、この班決め問題は毎年のように火種を生んでいるからです。今年も学校のある学級の保護者が「なぜうちの子が、これまで苦手だと言っていた子と同じ班なのか?」とお怒り(?)の電話をかけてきました。別の学級では、班決めの後、女子の数人が一緒の班になれなくて号泣し始めたと聞きました。各担任の御苦労に、私は胸が苦しくなりました。

 

たしかに親としては、せっかく何年間も学校の口座にお金を貯めて行く修学旅行が、しかも子供にとって(親にとって?)小学校生活最大の思い出が、嫌なものに変わってしまうのは耐えられないのでしょう。

 

全員が完全に納得する班決めの方法はないと思います。あとは学級の中で子供たちにいかに納得させるか、落とし込むことができるかどうかにかかってくるでしょう。