小学校教師クラメロンの日常

関西のみかんが有名な県に住んでいます。小学校教員。3.5.2.6.5異動1.4.特別支援学級.5.1という流れ。今年も生徒指導主任。

指導案の事前検討会はやめよう

昨日、本校で授業研究会が行われた。市の教育委員会の指導主事数名が来て、あーだこーだ言い合ったり、指導を受けたりするもの。

 

今回、中心授業をしたのは本校期待の若手A先生。5年の算数をやっていた。

 

2週間ほど前に指導案が配られ、会議室で全職員参加のもと事前検討会。事前研究や事前協議会とも言う。

 

A先生が説明後、グループごとに話し合う。そして授業の指導案について宣う。

「発問が○○〇となっているが、分かりにくいと思う。」

「ヒントカードを配ったらどうか。」

「問題をもう少し子供が親しみやすい素材にしたらどうか。」

「授業の最後は算数日記を書かせたいね。今から取り組んでみては。」

などなど。

 

若手A先生はまじめで良い人なので、「はい、そうですね。わかりました。」とノートにひたすらメモをしていた。

 

さて、果たして授業である。

 

結論から言うと、上にあげたような、事前検討会で出たアイデアをふんだんに盛り込んだ授業、もっと言えばフランス料理とイタリア料理と中華料理と日本料理がミックスされたような授業だった。豪華…と捉えるよりかは、子供たちは消化不良を起こしていた。

 

しかし最も消化不良を起こしていたのは、A先生だった。

 

事後研究会で指導主事の先生に、けちょんけちょんに言われているときの、A先生のやるせなさそうな目と言ったら…。

 

全てが終わったあとの印刷室。A先生と一緒になった。

 

私「A先生、お疲れ様でした。ようやくぐっすりと眠れますね。」

A先生「ありがとうございます。本当に…疲れましたねえ。」

私「指導主事の先生は、ああ言っていたけれど、私は良かったと思いますよ。」

A先生「うーん…でも、まあ正直別に悲しくもなかったんですよねえ。どうせ自分の授業じゃなかったですし…。」

私「えっ!?」

A先生「まあ、いろいろな意見を頂いたわけですし、入れないわけにはいかないじゃないですか…。授業はその1時間で終わりますが、人間関係は続きますし。」

私「まあ、たしかになあ。。。」

 

自分もかつて、5回も10回も指導案を書き直されたことがあった。赤の入った指導案を直し続け、最後に出来上がった指導案を見たとき「これは誰の授業なのだろう」と思った記憶がある。

 

そういった授業はたいてい、うまくいかない。自分が納得していないからだ。そして、「疲れた。もう嫌だな」という失敗体験を積み上げて終わる。自己決定権がないから、意欲がわかず、指導案を作り上げたら後は消化試合になってしまう。

 

だからこそ声を大にして言いたいのは、それなら「指導案の事前検討会はやめよう」ということ。授業者のやりたいようにやればいい。しかし、若手であればあるほど、まじめな先生であればあるほど、検討会で出た意見を入れようとする。

 

学校ぐるみで研究しようという意図は分かるが、一番大事にしなければいけないことは「授業者がやって良かったと思えること」だと思う。得をすべきは授業者でなくてはならない。