小学校教師クラメロンの日常

関西のみかんが有名な県に住んでいます。小学校教員。3.5.2.6.5異動1.4.特別支援学級.5.1という流れ。今年も生徒指導主任。

いじめの傍観者を生まないためには

実は夏休み前に、本校で結構ひどい、いじめが発生しました。

 

6年生の男子に対して、複数人がキモイだの、死ねだの、○○菌だの、人格を否定する言葉を投げつけていたそうです。

 

事件発覚後、すぐに校内いじめ対策委員会を実施し、指導の手順を確認しました。

 

結局、なんとか事件はおさまり、夏休み明け現在、被害者は楽しく学校に通えています。

 

ただ、私がその事件で感じた最大の闇は、クラスのほぼ全員がそのいじめを知っていたことです。傍観者が多数いたわけです。傍観者の誰もいじめを止めず、教師にも言わなかったことこそ、本事案の最大の問題点だと思います。

 

傍観者は言います。

「自分が代わりにいじめられると思った。」

「いじめられるのはかわいそうだけれど、いじめる方も問題があって…」

「僕は直接やっているわけではないのに、なんで叱られるの?」

 

昨今、いじめは社会問題になっています。メディアで触れることも多いでしょうが、この状況です。

 

では、学校に、教師に何ができるのでしょうか?

 

よくあるのは、いじめアンケートです。月に1回ずつ行えば、それなりに見えてくるものもあるでしょう。しかし本校でも当然実施しており、それでも見抜けなかったので、効果はそこまで…かもしれません。

 

文科省も注目しているのは、「学級風土」です。いじめ問題についての研修もしているそうで、効果がありそうですが、費用がどうなのでしょうか。

stopijime.kodomolove.org

 

学級担任として、もっと手軽にできる方法はないのでしょうか?

 

私が考えるのは、子供同士が日々の小さな「見て見ぬふり」を見逃さないことです。

 

例えば、授業のチャイムが鳴っても、席に着かない子がいたとしましょう。その子に学級の友達はどうするのか。

 

席に着かなくてもだれも困らないのだから何も言わない? 確かに、私もかつて、「人の迷惑にならなければ、放っておけばよい」という考えでした。しかし今は違います。あらかじめ学級全体に「席に着かない子がいたら、教えてあげてね。シンプルに優しく言えばいいよ」と伝えておくのです。

 

ルールからはみ出ている子がいたら、子供同士が正せば良いと思います。

 

怖いのは、子供間で上下関係が生まれることです。ですから、あくまで子供同士の注意や声掛けは「シンプルに優しく教えること」です。ここを徹底しないと、「○○君!早く席に着いて!」と大声で言う子があらわれます。クラスの雰囲気も悪くなってしまいます。

 

もしも放っておいたらどうなるでしょうか?

「ルールを無視する子がいても、自分に関係がなければ黙っているのが良い」という誤ったメッセージを子供に植え付けてしまいます。

 

ですから、日々の小さな綻びを子供同士が見て見ぬふりをしないことが、いじめの傍観者を生まないことにつながると思います。

 

あるいは「スパイを大事にする」もいいですね。

 

中村健一先生が、「ブラック生徒指導」でお書きになっています。

 

簡単に言えば、「先生、○○さんが△△さんのことをバカって言っているよ。」という密告者を粗末にしないということです。詳しくはブラック本に譲りますが、子供の情報が結構伝わってくる良い手です。

 

もちろん、傍観者もいじめに加担していることや、いじめの構造、何がいじめなのか、いじめはそもそも犯罪であることなどなど、様々な点を子供に伝えていくことも大切です。