小学校教師クラメロンの日常

関西のみかんが有名な県に住んでいます。小学校教員。3.5.2.6.5異動1.4.特別支援学級.5.1という流れ。今年も生徒指導主任。

教師のキャリア形成

年齢を重ねるにつれて、子供との距離が広がっていきます。話す内容も、話し方も、価値観も、つまり考え方そのものの差は広がる一方です。

 

生徒指導主任をしていて、若手よりもベテランの先生の方が学級経営で苦労をしている姿をよく見ます。若い人がうまくいかなくて悩んでいるのは共感できるのですが、ベテランの先生方の場合、見ていて辛いものがありますね。こちらも手を差し伸べにくいところです。(ここが学校の良くないところで、個人の力量に立脚しすぎです。ただ、今回の話の趣旨はそこではないので割愛)

 

子供との距離が広がることを考えたとき、「いつまで担任ができるのか?」は大きな問題として教師に降りかかってきます。

 

小中学校の教師は、教師になるときに、担任になる自分の姿をイメージして教壇に立ちます。管理職や教育委員会の職員として働くことを考えている人は、かなり少数派だと思います。

 

しかし20代が過ぎ、30代の中盤に差し掛かったころ、はたと気付くはずです。「自分はいつまで担任をするorできるのだろう?」と。体力的な面でも精神的な面でも子供との距離の面でも。

 

教師のキャリアは、30代中盤ぐらいまでは皆ほとんど同じです。学級担任として仕事をします。学級担任and日々の授業こそ、教師の仕事の中核だと考える人は多いでしょう。ただ、それが立ち行かなくなったり、違う道を提示されたりすると、今後のキャリアについて考える人が増えていきます。周りもそわそわし始める、それが30代中盤だということ。

 

30代中盤以降の教師のキャリアは、どんなものがあるのでしょうか?

 

①学級担任を続ける

 

 子供との距離が広がるため、しんどい面があるのは事実です。

 

 それでも、「子供と一番近くにいられるのが学級担任である」「教師の仕事は授業だ!」と考える方にとっては、学級担任は一番魅力的な仕事でしょう。最近は学級担任制を廃止したところもあると聞きますが、まだまだ少数派です。

 

 学級担任を続けられるメリットは、子供の成長を身近で実感できる点でしょう。しかし、特に小学校低学年の担任の場合、体力がないと辛いかもしれません。高学年~中学校の場合、自分と全く異なる価値観・世界で生きる子との関わり方を模索する必要があります。

 

②級外(担任ではない)

 

 地域により呼称は様々ですが、学級担任をもたない教員を指します。

 

 わりと年配の方が担当されるケースが多いですね。どの学校にも若干名(2~3名)います。多くは図工や理科、音楽、家庭科などの教科を専門に授業をされます。

 

 学級担任ほど子供と密な関わりができるわけではありませんが、授業を通して子供の成長に携わることができます。ただ希望しても、なれるかどうかは運次第です。先にも書いた通り、どの学校にも数名しかいないので。また、学級担任ではないので、子供との距離感をどう詰めるかという問題もあります。保護者対応が基本的にないのが良いところですね。

 

③管理職

 

 学級担任、級外を除いたとき、最もイメージしやすいキャリアは管理職です。校長・副校長・教頭・場所によっては主幹教諭も管理職に入りますね。

 

 教師になって数年の頃は、「なんで管理職になろうとするのかな?」と思ってみていましたが、学校全体を大きく変える力を持っているのが管理職の魅力と気付きました。教師として何年かたつと、自分一人でできることの限界も見えてきます。そのときに管理職の道を考え始める人も多いかもしれません。 

 

 ただ、管理職は願ってもなれるかどうか分からないポジションですし、そもそも激務です。特に教頭職は超激務です。本校の教頭先生は、朝6時過ぎに出勤し、退勤は夜の9時が基本です。事務処理以外にも、クレーム対応・トラブル対応・校舎内の修理・渉外・委員会対応などなど、学校の業務の全てに通じていなければできません。よほど仕事ができる方でないと務まらない職だと思います。

 

④長期派遣系

 

 長期派遣とは例えば「大学院」「附属学校」「海外の日本人学校」「海外青年協力隊」「県の総合教育センター」「児童相談所」「県立の施設」などを指します。研究が好きな方や異文化に興味のある人にはいいかもしれません。私の県はそうでもないのですが、組合が強い県は組合組織に出向するパターンもあるようです(例:日教組の中央執行委員)。

 

 ずっとその職についていられるわけではありません。当然ですね。大学院であれば2年が基本。県の総合教育センターも(本県の場合は)3年がほとんどです。ゆくゆくは現場に戻って、得たものを還元するための派遣ですから。

 

 この長期派遣系は希望すれば結構叶う場合もあるようです。私もこの道はありだなと思っています。

 

教育委員会

 

 管理職に似ていますが、こちらの方がなる可能性は低いかもしれません。

 

 県・市(町)には教育委員会があり、そこに所属する職員のことです。管理職に負けず劣らず激務です。私の所属する市では、いつも10時過ぎまで教育委員会のところだけ明かりがついています。

 

 私の中では、嫌われ役のイメージです。社会が作り出した教育委員会のイメージもあるのでしょうが、それ以上に「現場に様々なことを要求してくる組織」という印象が強いからかもしれません。でも中で働く方々は、いい方ばかり。いろいろな思いをもちながらお仕事をされているのだと推察します。

 

 出世コースなことは間違いありません。教育委員会出身者はその後、ほぼ管理職です。

 

⑥特別支援系専門

 

 本県は特別支援教育に力を入れています。そのためか他の県よりも特別支援体制が充実していることがウリ(?)のようです。

 

 通級指導教室が他県の平均よりも多く、各市に特別支援教育センターがあります。良いことです。

 

 そのためか特別支援教育専門になって各校を指導助言する立場の方がいらっしゃいます。他にも、特別支援学級担任のスペシャリストになったり、通級指導教室の担当になったりすることもできます。

 

 1つの道を究めることは素晴らしいことだなと思います。難点をあげるとすれば、基本的に「片道切符」ということです。特別支援教育の世界に入った先生方が、いわゆる通常学級の担任に戻ってくることはありません。また、管理職になる方もめったにいません。「違う畑に行く」感じですね。

 

⑦異校種

 

 小学校ならば特別支援学校や中学校にいくパターンです。イメージをしやすいでしょうが、だいたい数年で戻ってきます。

 

 私の県では異校種交流活動を熱心に取り組んでいます。生涯のうち1回は今の校種と別のところにいきましょうというお達し(?)まで出たことがあります。

 

 確かに得るものは大きいなと思います。辞令が出たときは、びっくりするそうですが、いざ働いてみると自分の価値観が大きく変わる経験になるようです。私はまだ経験がありませんが。

 

ざっと思いつくままに挙げてみました。

 

また追記するかもしれません。